○B.A.B.Y.→髙木雄也○

 

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5/16


#JUMPで妄想


#Album_m_m

 

(DEAR.初回限定盤1)


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「ふふ…ほーら。」

 

俺の手から取り上げられた携帯。
ニコニコしてる〇〇が俺の顔を覗き込む。

 

近づいた顔が俺の唇を奪う。そのまま啄むように続く。俺が押し返そうとしても、今度は首に腕が回る。舌がねじ込まれる。男なのに、抵抗できない。

 

「好きでしょ?こういうの。」

 

『嫌いって言っても、聞かねーだろ。』

 

そんな事、言っちゃってもいいの?なんて妖艶な表情を見せる。一方的な片想いもここまでくれば潔い気さえする。

 

「ねぇ…ここ行きたいの。」

 

俺のスマホ指紋認証、俺の指を勝手に使って開けた携帯。画面には青く光る世界。

 

『こういうの、興味あった?』

 

「雄也は海しか興味無いもんね?」

 

俺の質問なんて聞いてないような返事。
何も言い返さずに携帯をスクロールする。

 

「行こうよ。」

 

『いいけど…え、今から?』

 

いいでしょ?って俺が弱いって知ってるであろう、下から見つめあげる〇〇の必殺技をここぞとばかりに使ってくる。


断る余裕もない俺は、コートを手に取る。
〇〇も俺の部屋なのに、半分は〇〇の部屋のようになったリビングからコートとスヌードを探してくる。

 

『服、減らせないの?』

 

「雄也が少ない分、私でバランス取らないとね?」

 

自分の家に帰れば、とたまに言いたくなる。
振り回すだけ振り回されている俺の気も知らないで。車に乗れば、案の定、目的地までは眠り続ける〇〇。


俺はカーナビに指示されて、初めての目的地へと車を走らせる。

 

『…本命に連れてってもらえよ。』

 

うっかり本音が口から漏れていく。

 

「……仕方ないじゃん、夜は奥さんと子供が待ってるんだから」

 

返ってきた言葉はいつもより弱々しくて、苦しくて。ちらっと〇〇の方を見れば、閉じていたはずの目を開けている。窓の外の景色を見つめるその姿に孤独を感じる。

 

『そのまま俺の家に不法滞在かよ。』

 

「言い方に語弊があるでしょ。雄也だって嫌じゃないくせに。」

 

手は出せない…出さないし、キスもハグも俺からはなし。〇〇がしたくなった時だけ。でも、キスまでしかしない。半殺しのような毎日にも慣れ始めた俺は男として間違っているのか。

 

『どこがいいの、あいつの。』

 

「……私に興味無いくせに抱いてくれるところ?」

 

強がって言うそのセリフがいつもより〇〇を可愛く健気にする。

 

「雄也は私の事、好きだからね。丁度良いのよ。」

 

『なんもバランス取れてねーよ。』

 

「でも、私の事、拒まないでしょ?」

 

赤信号、俺の唇に〇〇の唇が重なる。青になれば自然と離れていく〇〇。このまま止まっていたい。そう思いながらもアクセルを踏む。

 

「……光さんと来たかったな。」

 

『悪かったな、俺で。』

 

無理に微笑んで、雄也でもよかったけどねって言われる。その言葉の棘と毒が俺の心を惑わせていく。

 

「…また来ようかな。」

 

その相手が俺とも限らないのに、勝手に満足する、そんな世界が続く。

 

…fin

○ドリームマスター→岡本圭人○

 

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4/16


#JUMPで妄想


#Album_m_m

 

(DEAR.初回限定盤1)


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怪しい音楽が流れる。
嫌な予感の漂う部屋にぐんぐんと吸い込まれる。

 

「1人?」

 

『あ、…はい。』

 

知り合いのDJはどこに行ったんだろうか。
人に押しつぶされそうになる。そんな時に声をかけてきたのは、綺麗な女の人。

 

手招きされて、その姿を追いかける。
知らない人の足に躓いて、謝りながらもどうにか追いつく。

 

「ねぇ、…これって憧れなんでしょ?」

 

『…女の人のじゃ。』

 

追い詰められるように初めましての相手に壁におしつけられる。
優しそうに笑う割に、冷たいその視線。

 

「で、どうしてこんなところにいるの?」

 

『知り合いが…』

 

「明らかに浮いてるけど、その格好。」

 

仕事帰り、スーツのまま入ってきた俺。
確かに周りの人から浮いているとは思っていた。

 

『でも…』

 

「さっきから弱いのよ、あなたは。」

 

着いてきてってネクタイを引っ張られる。
傍から見たらだいぶ俺はダサいと思う。

綺麗にウェーブがかかった黒髪が目の前で卑しく揺れる。
そんな女の人にネクタイを引っ張られている、まるでペット。

その人の背中ばかり見てるから。

 

「…ほら、周り見て。」

行き交う人たちとぶつかる。俺はここで何度謝っているんだろうか。
少しの躊躇いと恥ずかしさもしばらくすると慣れてしまうから怖い。

 

『あの…どこに』

 

「ほら、入った。」

 

押し込まれた部屋は無駄に広い。
クローゼットを開けると、たくさんの服が釣らされている。

 

「…これ、……あとは、これ。」

 

はいって渡されて、きょとんとしていると、ネクタイを緩められる。着替えろって意味をようやく理解した俺は服を脱いで。

 

「意外と筋肉、あるんだ〜」

 

『…まあ、そうなんですかね。』

 

触っていい?なんてキラキラした目で見られるから、頷く。
さらっと俺の筋肉の凹凸に指を滑らせる。

 

『ね、着ていい?』

 

「ん…」

 

頬を赤くして、許可をくれる。
さっきまで気づかなかったけど、照れてる?
可愛く思えてくるから、シャツのボタンを閉めている途中。腕を引いて、キスをする。

 

「なっ…、なに?」

 

『こういうの、期待してたんじゃないの?』

 

そこに落ちていたネクタイを拾い上げて、腕を縛る。睨むように下から見つめあげられるけど、そそられる。

 

『さっき、たくさん恥ずかしい思いしたからさ?』

 

いいよね?って体のラインをなぞるように撫でる。首を振るその様子は無視するように。

 

『ほら、次は何されたい?』

 

形成逆転、笑顔と困り顔だけで乗り越えてきた俺。いつも以上に甘い。そんな笑顔をお見送りする。

 

『良い加減、気づいてよね。』

 

スーツでこんなところ、来る人なんて居ないってことを。

 

…fin

○Run de Boo!→知念侑李○

 

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3/16

 

#JUMPで妄想


#Album_m_m

 

(DEAR.初回限定盤1)


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『ほら、行くよ!』

 

「はやいっ…侑李!」

 

久しぶりのデート。ずっと待ってたんだから。
僕が楽しみにしていたことなんてきっと知らない〇〇。


元気過ぎるよって呆れた様子で笑う。

 

『今日は行きたいところたくさんあるんだから。』

 

「全部行くから走らないで。」

 

がっちりと繋がれた手。走れなくはなったけど幸福感がある。隣にいる〇〇をチラチラ見ながら歩く僕。少し…だいぶ気持ち悪い。
そう思うけど、目が合う度に頬を赤くする〇〇が可愛すぎる。

 

『今日1日デートなんだよね?』

 

「誘ったの、侑李でしょ?」

 

違ったの?なんて少し頬を膨らませる〇〇。
1日デート、なんて嬉しすぎて俺は頬をまた緩める。

 

いつも僕達は正反対をいったり来たり。

 

「え…ここって。」

 

目的地に着いた。〇〇はびっくりした様子で。

覚えてる?って顔を覗き込んでみると予想通り、頬を赤くする〇〇。


初めてデートした場所、涼介に聞いて女の子も喜びそうなカフェに。あの時は今なんか想像できないほどに緊張していた僕。


こんな風に隣で〇〇の楽しそうでリラックスしたような、そんな笑顔を見ることなんてまだできなかった。

 

『…あの時と同じもの?』

 

「侑李ははたして、覚えてるでしょうか?」

 

いたずらに〇〇が笑うから、見ててよ!って店員さんを呼ぶ。緊張した記憶の中で頼んだ、メニューたちをまた、頼む。

 

店員さんがお辞儀して、席を離れると〇〇がばっちり!って。嬉しそうに笑うから、心の中でほっとする。でも、それだけじゃつまらない。当たり前ってでこぴん。


また膨れっ面をする〇〇を抱きしめたくなる。

 

『あの…これ。』

 

いろいろな感情を隠しながら〇〇の前に紙袋を差し出す。きょとんとした〇〇に開けるように促す。

 

「えっ…これ、あ…え、なんで?」

 

『ずっと見てたから。』

 

この間までやってたドラマに出てくるネックレス。これが欲しいの?って聞いたら侑李にはわからないと思うって。


そう言ってたけど、今なら分かる。その嬉しそうな顔が証明してる。つけてよ!って楽しそうに〇〇が言うから、僕は立ち上がる。


後ろに回って、〇〇の細い白い首につける。

 

『似合ってる。綺麗だよ。』

 

「…もう、急にそういうこと…っ!」

 

後ろから覗き込んで、そのままキスをする。
〇〇、首痛いかな?って心配になるけど、唇が離れると赤い頬が見えて。

 

『…夜まで長いですよ?』

 

「今日は泊まってくから…もっと長いもん。」

 

『掃除してないよ?』

 

「いっつもそう言うけど、汚い侑李の部屋、見たことないもん。」

 

汚かったら私が掃除するからって張り切りだす〇〇。そんな〇〇の頭をわしゃわしゃってするとまたその笑顔。

 

『長いからね!今日!』

 

ケーキを頬張る僕たちは目が合う度に笑い合う。そんな久しぶりの当たり前が最高に幸せで。

 

「…侑李、好き?」

 

見つめられたその視線をも、独り占めして奪ってしまいたくなる。


返事は焦らして、少しもやもやさせておこう。
家に着いたらいっぱい、聞かせてあげるんだから。

 

…fin

○Masquerade→薮宏太○

 

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2/16


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(DEAR.初回限定盤1)


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きらびやかなシャンデリアの下を歩く。


友だちが誘われた舞踏会。代わりにって渡された招待状。赤い烙印を押された今どきでは見ない封筒。

 

こんな世界に飛び込んだことなんて1度もなかった。

 

『ねぇ、1人?』

 

声をかけられて振り向く。仮面越しでも分かるその人の魅力。

 

『ちょっと出ない?』

 

腕を引かれる。返事の一つもしていない。


テラスも、現実的な世界は欠片も広がっていない。涼しい風が肌に良い。

 

『名前は?』

 

「こちらからも聞きたいです。」

 

『なんでこんなところにいるの?』

 

「え…なんでって…」

 

『慣れてないんでしょ?』

 

雰囲気に出ないようにしていたのに、すぐに見破られる。一瞬恐怖を感じて後ずさるけどその時にはもう遅くて。抱き寄せられたと思ったら、今度は唇が塞がれる。

 

仮面がぶつかる、こつんって音が余計にリアルで。相手のそれについてる羽が頬に当たってくすぐったい。

 

『…可愛いなって思ったんだけど』

 

「……そう言ったら許されると?」

 

頬が緩む相手に私も勝手に釣られてしまう。
優しすぎるのはだめだと言われてきたことを今更思い出す。

 

「…匂い。良い匂いしますね。」

 

『何の匂いだと思う?』

 

教えるつもりのなさそうな声に真剣に悩んでるフリをする。どうせそんな事も見破っているだろう。

 

私からの返事をまた、待つこともせずに腕を引かれてまた城の中。陽気ととるか陰気ととるかも分からない音楽が止まる。

 

『どうぞ。』

 

「…踊れませんよ?」

 

『俺に合わせて。』

 

手を出されて、その手に自分の手を乗せる。
どうせ、ここで踊ったって仮面をつけているから。


誰かも分からない相手、下手だって1夜限り。

スローで流れる音楽に合わせて体を揺らす。

どのくらい経ったか、12時を告げる鐘が鳴る。

 

『そろそろ帰らないとね?シンデレラさん。』

 

その人が私の有無を聞かないで城から飛び出る。私も一緒に現実の世界に戻った感じ。

タクシーに押し込まれると必要以上のお札を運転手さんに渡したその人。

 

「…あの、」

 

『またいつか、会えるよ。』

 

この子の家まで、そう告げるとドアを閉めたその人の姿だけを追う。
車が家に着く頃には仮面も外して、現実に戻ったはずだった。

 

____

 

あの日から同じ事を考える、匂いと言葉遣い、踊る時の独特のステップ。

 

『…シンデレラさん、今日はどこから?』

 

帰り道、考えていた声に振り返る。
仮面を外したその人が優しく微笑む。

 

「王子様…って呼ばれたいんですか?」

 

スーツを着たその人と、いかにもOLな私。
2人で夜の街へと消えていく。

 

…fin

○Invitation→八乙女光○

 

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1/16

 

#JUMPで妄想


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(DEAR.初回限定盤1)


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目を開けると、いつもの部屋でなくて。
キラキラした装飾、ホテルのスイートルームでもこんなに眩しくはない。

 

『…起きた?』

 

「え、…どういうこと?」

 

目の前にいるのはいつもの光とは違う気がする。

 

『ほら、見て?』

 

鏡の前に立たされた私はいつもとは違う。
ドレスに巻き髪、唇だけでも分かるような綺麗なメイク。

 

「なんで…」

 

『仮面舞踏会だからね?』

 

光も仮面をつける。
いつもは見ない光のタキシード姿に心が踊る。

 

「ここ、」

 

『聞かないで。魔法、溶けるよ?』

 

光なのか実は中身が違う人なのか…私はわからなくなる。その時、繋がれた手はやっぱり大好きなその手で。

 

「ねぇ…何が起きてるの?」

 

『今から、感じて体験すればいいよ。』

 

光は笑って言うけれど、私にはさっぱりわからない。

 

『とりあえず、その仮面、外さないでね。』

 

現実に戻ったら、元には戻れないよ?
意味の分からない言葉を飲み込んだ私は光とともに部屋を出る。少し薄暗い廊下、カーペットが敷かれていて幻想的。

 

どこの国の建物か分からないほどの広さ。
日本の建物というよりか海外のお城みたい。

 

『ではここで質問です。』

 

光が大きな扉の前で立ち止まる。
私もつられて立ち止まって。

 

『これから始まる事は夢でしょうか?現実でしょうか?』 

 

「さっき、自分で夢だって…」

 

『でも、夢だと信じるかは〇〇次第でしょ?』

 

光の微笑みが私の心の揺れを少しずつ大きくする。あと少し、あと少し、初めての経験に変な緊張を覚える。

 

『ようこそ、〇〇…』

 

"愛しい君に素敵な思い出を…"

 

…fin