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○こっちおいで→伊野尾慧○

 

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#JUMPで妄想 甘

 

mikanちゃんリクエスト

 

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「ねぇ、聞こえてる」

 

『聞こえてないね〜』

 

携帯をいじる指が止まらない。私の方を見向きもしない横顔を見つめて。

 

「慧くーん。」

 

『ん〜?』

 

「…私の相手をしましょ〜」

 

『ちょっと忙しいんですね〜』

 

せっかく2人きりの空間なのに、久しぶりのお休みだったのに。
忙しいって何かと理由をつけて1歩も家から出なかった。
しまいには夜になっても忙しいって…
なんだそれ!って言いたいけど、怒っても拗ねてもダメな気がする。
逆効果ってやつだと思う。だから、ぐっと堪えてキッチンに。

 

ため息が止まらなくて、どうしちゃったかなぁと。
誰かがため息つくと幸せ逃げるよって言っていたけど
幸せと一緒にため息が出ていくものだと、私は思う。

 

『〇〇〜お手隙だよ〜』

 

「…もう、私が忙しいんですっ」

 

キッチンに来た理由をどうにか作ろうとした私はお菓子作りを始めて
メレンゲを泡立てつつあった。
何を作るかもあやふやで、もはやどうしてメレンゲ泡立てちゃったのか…

 

自分でもびっくりするくらい計画性がないところは
慧君がいつも方向性を変えてくれているから補われてきた。

 

『〇〇〜何作ってるの?』

 

「…メレンゲ、」

 

『だけ?』

 

「うん。」

 

『絞りで焼きメレンゲにすれば?この間買ってたでしょ?』

 

「あ、そうだね。」

 

やっぱり軌道修正は慧君の担当みたいで。
オーブンに入れて、ボタンを押せば、後は機械がやってくれる。

 

『〇〇、こっちおいで?』

 

今度は優しくて甘い声で私を呼ぶ。
伸ばされた腕に吸い込まれるように私は従って、飛び込む。

 

『ああ…やっと来た。』

 

「…慧君が忙しいって言い続けたくせに。」

 

『拗ねてるのが可愛かったから』

 

でも、もう離さないよって、優しい笑顔で。
なんとなく、キスしたくなって、一瞬触れるだけのキスを。

 

『…今のはずるいなぁ』

 

「ずるくないです」

 

『常習犯だもんなぁ』

 

「そんなにやってないです(笑)」

 

笑い出した私の腕を引いて、今度は少し長めのキスを。


はむっと、何度か啄んで、また少し離れて。
ふっ、って笑うから吐息が頬にかかる。

 

「すこーし、本当に少しだけ。…妬いてた」

 

『え?』

 

「…もう、言ってあげないから!」

 

頬にもう1度、ちゅっとしてみせる。
顔を赤くした慧君が私の瞳に、眩しく映る。

 

 

 

…fin