○マカロン、1齧り分→八乙女光○

 


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#JUMPで妄想


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フォロワーさま400人突破記念企画


(めいぷるさんリクエスト)


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Very Thanks!!!


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『ただいま〜』


「おかえりなさい…」


静かに返ってきた返事。部屋の中は電気をつけていないせいか暗い。


『大丈夫?』


カチッと音を鳴らした後に、部屋には生き返ったように明かりが。
〇〇はソファで半分夢の中のような状態で。


『電気つけないと暗かったでしょ』


「うん…でも歩くのめんどくさくて」


『絶対将来、良い大人にならないよ。俺が保証する。』


「それは、どうも。」


喜ばしくない保証にもお礼が返ってくるところが〇〇らしい。
そう思いながら俺は冷蔵庫を開く。補充されたアルコール類。
珍しく買い物にでも行ったのかと、俺はそういう事にも感心する。


『何飲む?何食べたい?』


「ん〜…なんでもいいかな」


こう返ってきた時は俺が作りたいと思うものを作って良い日。
と、いう事で冷蔵庫の中のものたちを眺めてから夜ご飯を決める。


『はい、どうぞ』


オムライスを久しぶりに作りたくなって、腕によりをかけて作ってみた。
上からケチャップをかけない派の〇〇。


「なんで、中はケチャップライスなのにかけるの?」


『ん〜…なんでだろうね、美味しさの違いじゃない?』


オムライスを食べる度に投げかけられるこの質問も、最初は真剣に
答えを考えていたけど、後々、適当でも良いことを学ぶわけで。


「ねぇ、…洗い物は私がやる」


『え?あ、お願い。ありがとう。』


どういう風の吹き回しなのか。と思いながら突然の提案を受け入れる。
風邪でも引いてんのかな?なんて、失礼な感想を持つ。


『終わった。』


「ありがとう、お疲れ様…」


俺の隣、少し距離を置いたところに座る〇〇。


そのまま俺の方をちらちら見ながらも、何も言ってこない〇〇に
俺は首を傾けるくらいしか、できなくて。


『どうしたの?』


「…なんでもないよ」


『そっか…』


なんとなく、無言の空気が続いて、〇〇は何故か耳まで赤くする。
…照れ隠し?でもないか。


「…ねぇ、お酒、飲もうよ」


『あ、何飲む?』


結局さっきはオムライスに麦茶だったし。なんて思いながら白ワインを
手に取り、返事のない〇〇が待つソファに戻る。
腰掛けてから2人で乾杯をする。それだけの行動がいつもと違う気がして
俺は自分の違和感に迷いを広げていく。
そんな俺を置いてきぼりにして既に1杯飲み干した〇〇が俺の服の裾を
弱い力で引っ張る。


『…こういう?』


「ん…」


抱きしめると満足したように胸に顔を押し付けてきて、良い匂い、なんて
言ってくるもんだから本当に困ってしまう。


『…可愛い…こういうの普段はさ?』


「男なら何も言わないの」


〇〇に諌められてそれもそうかと俺は思う。
俺の背中に回ってきた手。俺はニヤケを抑えながら1層力を強める。


『素直に言えばいいのに』


「うるさい…」


カロン、1齧り分の勇気に愛しさを込めて。


…fin