○言葉にできない→八乙女光○
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#JUMPで妄想
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いつもその背中に投げかけたい言葉は胸に仕舞われている。
今だって、本当は大丈夫?って言ってあげたい。
おいで、って腕を引いて、抱きしめてあげたい。
『…〇〇?食べたいものある?』
「ん?…特にはないかな?」
〇〇の曇った表情はここ何日間も晴れていない。
『これ、美味しいらしくてさ』
「誰に教えてもらったの?」
甘いものが好きな〇〇のためにメンバーに聞いて、買ってきた
お菓子を〇〇のもとに持っていく。
『メンバーが教えてくれた』
「本当にお洒落なものばっかり知ってるんだね」
引き攣らせた笑顔は無理している事が分かる。
それでも精一杯の笑顔を向けて、お菓子に手を伸ばす〇〇。
「…あ、美味しい!」
『……良かった』
一瞬晴れた表情に心の底から安心する自分がいる。
『…あのさ』
「うん?」
『ドライブでも行く?今日の夜。』
「行きたいかも…景色が綺麗なところ」
『行こうか。温かいものでも買ってさ』
うんって頷いた〇〇がまた少し晴れた表情を見せてくれる。
「光ってさ、不器用だよね。」
『急になんだよ…』
「間違ったことは言ってないと思うよ?」
〇〇がコートとマフラーに手を伸ばす、その手を俺は引き寄せて。
「…どうしたの?」
『別に…行こうか。』
ふふって、笑った声が聞こえて、今更恥ずかしくなる。
それでも良いやと思いながら俺も準備をしようと動き出すと
後ろからぎゅっと〇〇に抱きしめられる。
「本当に、光はだめだなぁ」
〇〇のその声は少し跳ねているようで、これで良かったんだと
思うから、また俺は〇〇を抱きしめる。
ドライブ、どうしようかなと、頭の中をぐちゃぐちゃにしながら。
…fin