○月夜に夢見頃→薮宏太○
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#JUMPで妄想
HappyBirthday.
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廊下で後ろからぽんと肩を叩かれる。
振り向くと金髪に近いような、制服には似つかない格好の男の子。
『ねぇ、プレゼントは?』
「プレゼント?ですか?」
『うん、プレゼント。』
ニコニコしたその笑顔は私に疑問を抱く。
『え?今日、誕生日だよ』
「…えっ、そんなの……知らないです」
『ひどいなぁ…じゃあプレゼントなし?』
「はい…ごめんなさい」
クラスメイトの薮君のその微笑みが私の心を締め付ける。
何も無い…今日に限ってお菓子も持ってない。
「…明日っ、明日でもいいですか?」
『明日は誕生日じゃないからな〜』
「……本当に、ごめんなさい」
ああ…最悪だ。涙が溜まって、泣き出してしまいそう。
そんな私の両頬をその長い指で掴まれる。
『…ふっ、酷い顔』
「はひゃしへぇくへぇしゃい(離してください)」
『え?なんて?』
笑いながら顔を近づけてきて、ふにっと唇が押し付けられる。
離れる頃には目を丸くする私と、楽しそうに笑う薮くん。
また、唇が重なって、下唇を弱く挟まれる。
「…薮くん?」
『〇〇でもいい?プレゼント…物みたいにはしたくないけど』
「…、はい?」
なんだかおかしくなって、笑いながら薮くんの言葉を聞く。
『彼女になってください。』
だめ?って聞かれると私は首を振って、薮くんは微笑んで。
私と、薮くんが見つめ合って、ここは廊下だっていい加減思い出す。
「プレゼント、私には無いんですか?」
『え?プレゼント?』
「実は、私も誕生日なの。」
微笑んだ私が一枚上手だったりする。
…fin