○Brand New World→八乙女光○

 

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#JUMPで妄想

 

#Album_m_m

 

(DEAR.初回限定盤1)

 

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「…光?おはよう!」


『はーい。』


玄関で俺を呼ぶ声に俺はズボンを履きながら応える。


「光?準備終わってないの?」


ひょこっと俺の部屋を覗いた〇〇が。


「あ、服!」


まだズボンしか履いてない、上半身裸の俺を見て頬を真っ赤にする〇〇。


『だからノックしろって。』


「だって…遅れちゃうから」


扉の後ろに隠れた〇〇が時間を伝えてくれる。


「いつも一緒に怒られるの、私なんだからね?」


『1人で行けばいいだろ』


そうは言っても、〇〇が俺を置いていかないことは知っている。
そんな優越感に浸りつつも俺だって少しは焦る。


『ん、できたよ。』


「あ、また曲がってる…本当に下手だなぁ。」


〇〇が俺を覗き込むように、ネクタイを直す。
ここからの視線が好きで、俺だけのもので。


「ほら、行くよ?」


ぽんっと胸板を叩いた〇〇に頬が赤くなったのがバレないように
俺は玄関へと足を進める。


「光、宿題やった?」


『うん、多分。』


「やってないでしょ…」


呆れた声の〇〇が隣でため息混じりに笑う。
俺はきっと、いつまでもこの子にこの顔をさせてしまうのだと痛感する。
でも、それがいいんだって思うのはきっと甘えなんだろう。


『いつもさ、俺といて飽きないの?』


たまに思う疑問を朝から聞いてみた。
こんな空気重くなるような質問、めんどくさいなって俺なら思う。


「飽きないよ!いつも通りと、たまに新しいことと…楽しいよ?」


どうした急に〜ってあっけらかんと言ってのける〇〇に俺は赤面する。
やっぱりこの子には適わないんだって。


『〇〇と一緒にこうやってさ、馬鹿みたいにさ?』


「馬鹿は光だけでしょ?(笑)」


鋭いツッコミにぼけて誤魔化して、俺は世界で一番ダサい。


『ま、変わらないのも悪くねーよな。』


「変わらな過ぎるのもつまらないけどね?」


『まあ変わらなくても〇〇といたら楽しいんじゃん?』


「光が毎日、変わってるから楽しいんじゃない?」


ん?って俺は〇〇の横顔を見つめるけど、そのキラキラした瞳に
全てを忘れて、吸い込まれてしまいそう。


「光の感情が同じ日なんて、1日もないでしょ?」


今だって、きっといつもとは違うことを考えているでしょ?って。
その言葉の奥に何があるかなんて考えつかないけど。


『毎日、〇〇がすげぇ好きになってる。』


「え?…もう1回!もう1回言って!」


『もう言わねーよ。』


「光!お願い!ね?」


『…いや、言わないね。(笑)』


もしかしたら、今の一言で全てが変わるんじゃないか。
そんな期待をする今日は、確かにいつもとは違う日。

 

…fin