○Kiss Diary→薮宏太○

 

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#JUMPで妄想

 

#Album_m_m


(DEAR.初回限定盤1)


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『…〇〇?ほら、』


「あ〜ありがとう。買ってきてくれたの?」


年越しはクラッカーを鳴らしたいって言い出したのは〇〇。
そんな事言われたら、買ってくるに決まってるだろ!と思いながら
1人2つずつ、クラッカーを手に持つ。


『「3.2.1…あ、」』


あと1分、早かったことに気づいて2人で笑い転げる。


「宏太、バカ〜」


『〇〇もだろ?って、あ、』


『「2.1!!!!」』


パーン!って部屋に響く音は誰もが知ってるクラッカーの音。
〇〇が涙目で、ソファに倒れ込む。笑い疲れたみたいに肩で息して。


『あけましておめでとう。』


その横に俺は座るわけだけど。


「もう、…ははっ」


『笑いすぎだから…』


俺は〇〇に体重をのせてみる。抵抗する〇〇だけど力は弱い。


「重いって、…男〜」


『俺は薮宏太〜』


「子供じゃないんだから…(笑)」


ほいって、さっきの何倍も強い力で押し返される。


「あけましておめでとう!」


笑いながら重なる唇は塩対応とでも言うべきほどにさっぱりしている。
でもそこから急に何度もぶつけられた唇を、どうにか捕まえたくて、
はむっと、下唇を噛むように〇〇の動きを止める。


「…?」


上唇だけぱくぱくさせて不思議そうに俺を見つめる〇〇。
俺は下唇を押し付けるのと同じ要領で〇〇に体重をかける。
ソファに逃げ場を奪われた〇〇が目を丸くして。


『…笑いすぎ』


「もう、笑ってないでしょ?」


唇を離せば物足りなさそうに俺の首に腕を回す〇〇。


「さっきから、宏太の携帯、鳴ってるよ?」


『ああ…光とかかな?』


「気になってるんでしょ?ほら、見てきなさいっ!」


俺が友達を大切にしていることも、そんな俺を尊重してくれることも。
また今年も〇〇への感謝の年が始まるんだと思うとワクワクする。


『…ん?どうした?』


俺の肩に〇〇が顎を乗せて、後ろから抱きしめられる。


「宏太がお友達タイムだから、私も…」


『〇〇、返事終わったの?』


「うん…宏太と違って狭く深く…なんだよね〜」


そう言いながら擽ってくるところは猫みたいで可愛い。
…なんて新年早々、〇〇には適わないって思い知らされる。


『…はいっ、終了!』


携帯を机に置くと〇〇がぐるんっと俺の前に出てきて、
上目遣いって言葉よりも何倍もあざとそうな目線を送ってくる。


『…なんだよ、』


「…好きだよ!宏太!」


『俺も好きだよ…』


口角が上がったまま、唇を重ねて、なんて幸せなんだろうと。


「今年は何しますか?」


距離が離れると新しい希望に夢を膨らませる俺たちがいた。

 

…fin