○Run de Boo!→知念侑李○
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#JUMPで妄想
#Album_m_m
(DEAR.初回限定盤1)
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『ほら、行くよ!』
「はやいっ…侑李!」
久しぶりのデート。ずっと待ってたんだから。
僕が楽しみにしていたことなんてきっと知らない〇〇。
元気過ぎるよって呆れた様子で笑う。
『今日は行きたいところたくさんあるんだから。』
「全部行くから走らないで。」
がっちりと繋がれた手。走れなくはなったけど幸福感がある。隣にいる〇〇をチラチラ見ながら歩く僕。少し…だいぶ気持ち悪い。
そう思うけど、目が合う度に頬を赤くする〇〇が可愛すぎる。
『今日1日デートなんだよね?』
「誘ったの、侑李でしょ?」
違ったの?なんて少し頬を膨らませる〇〇。
1日デート、なんて嬉しすぎて俺は頬をまた緩める。
いつも僕達は正反対をいったり来たり。
「え…ここって。」
目的地に着いた。〇〇はびっくりした様子で。
覚えてる?って顔を覗き込んでみると予想通り、頬を赤くする〇〇。
初めてデートした場所、涼介に聞いて女の子も喜びそうなカフェに。あの時は今なんか想像できないほどに緊張していた僕。
こんな風に隣で〇〇の楽しそうでリラックスしたような、そんな笑顔を見ることなんてまだできなかった。
『…あの時と同じもの?』
「侑李ははたして、覚えてるでしょうか?」
いたずらに〇〇が笑うから、見ててよ!って店員さんを呼ぶ。緊張した記憶の中で頼んだ、メニューたちをまた、頼む。
店員さんがお辞儀して、席を離れると〇〇がばっちり!って。嬉しそうに笑うから、心の中でほっとする。でも、それだけじゃつまらない。当たり前ってでこぴん。
また膨れっ面をする〇〇を抱きしめたくなる。
『あの…これ。』
いろいろな感情を隠しながら〇〇の前に紙袋を差し出す。きょとんとした〇〇に開けるように促す。
「えっ…これ、あ…え、なんで?」
『ずっと見てたから。』
この間までやってたドラマに出てくるネックレス。これが欲しいの?って聞いたら侑李にはわからないと思うって。
そう言ってたけど、今なら分かる。その嬉しそうな顔が証明してる。つけてよ!って楽しそうに〇〇が言うから、僕は立ち上がる。
後ろに回って、〇〇の細い白い首につける。
『似合ってる。綺麗だよ。』
「…もう、急にそういうこと…っ!」
後ろから覗き込んで、そのままキスをする。
〇〇、首痛いかな?って心配になるけど、唇が離れると赤い頬が見えて。
『…夜まで長いですよ?』
「今日は泊まってくから…もっと長いもん。」
『掃除してないよ?』
「いっつもそう言うけど、汚い侑李の部屋、見たことないもん。」
汚かったら私が掃除するからって張り切りだす〇〇。そんな〇〇の頭をわしゃわしゃってするとまたその笑顔。
『長いからね!今日!』
ケーキを頬張る僕たちは目が合う度に笑い合う。そんな久しぶりの当たり前が最高に幸せで。
「…侑李、好き?」
見つめられたその視線をも、独り占めして奪ってしまいたくなる。
返事は焦らして、少しもやもやさせておこう。
家に着いたらいっぱい、聞かせてあげるんだから。
…fin