○Masquerade→薮宏太○
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2/16
#JUMPで妄想
#Album_m_m
(DEAR.初回限定盤1)
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きらびやかなシャンデリアの下を歩く。
友だちが誘われた舞踏会。代わりにって渡された招待状。赤い烙印を押された今どきでは見ない封筒。
こんな世界に飛び込んだことなんて1度もなかった。
『ねぇ、1人?』
声をかけられて振り向く。仮面越しでも分かるその人の魅力。
『ちょっと出ない?』
腕を引かれる。返事の一つもしていない。
テラスも、現実的な世界は欠片も広がっていない。涼しい風が肌に良い。
『名前は?』
「こちらからも聞きたいです。」
『なんでこんなところにいるの?』
「え…なんでって…」
『慣れてないんでしょ?』
雰囲気に出ないようにしていたのに、すぐに見破られる。一瞬恐怖を感じて後ずさるけどその時にはもう遅くて。抱き寄せられたと思ったら、今度は唇が塞がれる。
仮面がぶつかる、こつんって音が余計にリアルで。相手のそれについてる羽が頬に当たってくすぐったい。
『…可愛いなって思ったんだけど』
「……そう言ったら許されると?」
頬が緩む相手に私も勝手に釣られてしまう。
優しすぎるのはだめだと言われてきたことを今更思い出す。
「…匂い。良い匂いしますね。」
『何の匂いだと思う?』
教えるつもりのなさそうな声に真剣に悩んでるフリをする。どうせそんな事も見破っているだろう。
私からの返事をまた、待つこともせずに腕を引かれてまた城の中。陽気ととるか陰気ととるかも分からない音楽が止まる。
『どうぞ。』
「…踊れませんよ?」
『俺に合わせて。』
手を出されて、その手に自分の手を乗せる。
どうせ、ここで踊ったって仮面をつけているから。
誰かも分からない相手、下手だって1夜限り。
スローで流れる音楽に合わせて体を揺らす。
どのくらい経ったか、12時を告げる鐘が鳴る。
『そろそろ帰らないとね?シンデレラさん。』
その人が私の有無を聞かないで城から飛び出る。私も一緒に現実の世界に戻った感じ。
タクシーに押し込まれると必要以上のお札を運転手さんに渡したその人。
「…あの、」
『またいつか、会えるよ。』
この子の家まで、そう告げるとドアを閉めたその人の姿だけを追う。
車が家に着く頃には仮面も外して、現実に戻ったはずだった。
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あの日から同じ事を考える、匂いと言葉遣い、踊る時の独特のステップ。
『…シンデレラさん、今日はどこから?』
帰り道、考えていた声に振り返る。
仮面を外したその人が優しく微笑む。
「王子様…って呼ばれたいんですか?」
スーツを着たその人と、いかにもOLな私。
2人で夜の街へと消えていく。
…fin