○マカロン、1齧り分→八乙女光○

 


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『ただいま〜』


「おかえりなさい…」


静かに返ってきた返事。部屋の中は電気をつけていないせいか暗い。


『大丈夫?』


カチッと音を鳴らした後に、部屋には生き返ったように明かりが。
〇〇はソファで半分夢の中のような状態で。


『電気つけないと暗かったでしょ』


「うん…でも歩くのめんどくさくて」


『絶対将来、良い大人にならないよ。俺が保証する。』


「それは、どうも。」


喜ばしくない保証にもお礼が返ってくるところが〇〇らしい。
そう思いながら俺は冷蔵庫を開く。補充されたアルコール類。
珍しく買い物にでも行ったのかと、俺はそういう事にも感心する。


『何飲む?何食べたい?』


「ん〜…なんでもいいかな」


こう返ってきた時は俺が作りたいと思うものを作って良い日。
と、いう事で冷蔵庫の中のものたちを眺めてから夜ご飯を決める。


『はい、どうぞ』


オムライスを久しぶりに作りたくなって、腕によりをかけて作ってみた。
上からケチャップをかけない派の〇〇。


「なんで、中はケチャップライスなのにかけるの?」


『ん〜…なんでだろうね、美味しさの違いじゃない?』


オムライスを食べる度に投げかけられるこの質問も、最初は真剣に
答えを考えていたけど、後々、適当でも良いことを学ぶわけで。


「ねぇ、…洗い物は私がやる」


『え?あ、お願い。ありがとう。』


どういう風の吹き回しなのか。と思いながら突然の提案を受け入れる。
風邪でも引いてんのかな?なんて、失礼な感想を持つ。


『終わった。』


「ありがとう、お疲れ様…」


俺の隣、少し距離を置いたところに座る〇〇。


そのまま俺の方をちらちら見ながらも、何も言ってこない〇〇に
俺は首を傾けるくらいしか、できなくて。


『どうしたの?』


「…なんでもないよ」


『そっか…』


なんとなく、無言の空気が続いて、〇〇は何故か耳まで赤くする。
…照れ隠し?でもないか。


「…ねぇ、お酒、飲もうよ」


『あ、何飲む?』


結局さっきはオムライスに麦茶だったし。なんて思いながら白ワインを
手に取り、返事のない〇〇が待つソファに戻る。
腰掛けてから2人で乾杯をする。それだけの行動がいつもと違う気がして
俺は自分の違和感に迷いを広げていく。
そんな俺を置いてきぼりにして既に1杯飲み干した〇〇が俺の服の裾を
弱い力で引っ張る。


『…こういう?』


「ん…」


抱きしめると満足したように胸に顔を押し付けてきて、良い匂い、なんて
言ってくるもんだから本当に困ってしまう。


『…可愛い…こういうの普段はさ?』


「男なら何も言わないの」


〇〇に諌められてそれもそうかと俺は思う。
俺の背中に回ってきた手。俺はニヤケを抑えながら1層力を強める。


『素直に言えばいいのに』


「うるさい…」


カロン、1齧り分の勇気に愛しさを込めて。


…fin

 

○揺れる→伊野尾慧○

 


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「あの…今日もまたなんでしょうか?」


『またって、ひどくない?』


伊野尾先輩が食堂で私を見つけるなり、前のイスに着席。
周りに座っていた女の子たちもいらない空気を読んで席を離れていく。


『今日も可愛いな〜って思ったから、近づいちゃった。』


でも、近づくだけど寂しいから声もかけちゃった、なんて
女の子でも言わないようなセリフをすらすらと頬杖つきながら。


『今日の放課後は空いてる?』


「部活が、『その後は?』


「空いてます…」


『一緒に帰ろ!待ってるから。』


じゃあね、って顔の横で手をフリフリするその姿はほとんど女子
なんじゃないかと思うほど可愛くて、
でも、本当に信じられないくらい人気の先輩だから、
私のこと…本気なわけないってそう思う毎日が今日も含めて続いていた。


____

 

『あ、お疲れ〜』


「先輩…本当に待ってくださったんですか?」


『勉強してたから。それに〇〇の少し疲れた顔も見たかった。』


可愛いなって語尾にハートがつきそうなセリフを聞かないふりして
私は伊野尾先輩の横を通り過ぎるように歩く。


『〇〇、何か食べたかったりする?』


「大丈夫です!」


『え〜…俺はお腹すいたよ』


〇〇の事、待ってたらお腹空いちゃったって半ば強引に
全国的にも有名なドーナツ屋さんに連れ込まれる。


『〇〇は何食べる?』


「本当に大丈夫ですから…」


いつもご馳走してくれる伊野尾先輩に引け目を感じるのも当然だと思う。


私の高校はアルバイトOKで、伊野尾先輩もどこかは詳しく聞いたこと
ないけど、アルバイトしている事は知っていて。
せっかく働いたお金を私に使うなんて申し訳なさ過ぎて。


不自然に3つトレーに乗せられたドーナツと2つのマグカップにため息を
こぼしながら伊野尾先輩の後をついていく。


『はい、ミルクティーでしょ?』


「あのお金は本当に…」


『いーの、俺が一緒にいたいだけだから。』


そう言って、ドーナツを1つ私に渡した伊野尾先輩が
嬉しそうに微笑むと、やっぱり素直に従ってしまう。


それから大したことは話してないけど、時間は確実に過ぎて。


『そろそろ帰らないとね、心配させちゃうから』


こんな可愛い子、育てる親御さんは大変だって大げさな顔をする
伊野尾先輩が食器たちを片付けていく。
お店を出て、やっぱり相変わらずいつも通りの伊野尾先輩と帰路を歩く。


あと少しで家に着く時、伊野尾先輩がくるっと振り返る。


『やっぱり〇〇の事好きみたいだよ、俺。』


「そんな…あの、からかわないでください…」


『からかってないよ。〇〇可愛いし、俺は好きだよ』


「そういうのが…っ、伊野尾先輩は真剣さがないんですっ!」


好き、とか言われる事に慣れていないから、今日1日も私には大変で。
その思いを返す方法も分からないし、いろいろなことを無駄に
頭の中で考えている間にも伊野尾先輩は私に1歩近づく。


『君のこと本気なんだけど』


その言葉の先で、伊野尾先輩は優しく、揺れるように微笑む。

 


…fin

○King→薮宏太○

 


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「…宏太君?あ!宏太君!」


『……ちっ…』


「え?今、舌打ちしたよね?したよね?」


朝の図書室、いつも薮君しかいない準備室。
図書委員という特権を利用して私も準備室に入る。


「宏太君、好き〜」


『……だりぃ』


「ふふ…なんでもいいよ〜」


『重いな、…お前、太ったろ?』


肩を寄りかからせれば、そんな冷たい言葉。
そのくせ、私の右手は宏太の左手に握られる。
いわば恋人繋ってやつで。


「…手、冷たいね?」


だから何、と言わんばかりの冷たい視線。
その視線もすぐに外されて、もう、私のことなんて見てもくれない。


『……お前、授業あるだろ?』


「いいかな〜って…宏太、しばらくここいるでしょ?」


『成績落とすぞ?』


「生憎、そんなに馬鹿ではありません。」


『生意気か。』


そうは言われるけど繋がれた手を離されることはない。
少しの日差しと、準備室に付けられた暖房と、宏太君に会うための早起き
が私を眠りに誘う。


『…おい、寝るな』


「んん…」


『聞いてんのか?』


そんな宏太君の声は淡く弾けているようで、眠りに吸い込まれて…


『聞けって…』


急に息ができなくなって、口を開けると割って入ってくるもの。
繋がれていない方の手が私の頬に触れて、目を開けると
薄らと開いていた宏太君の目と視線が重なって。


重なると同時に下唇が噛まれるような痛み。


『開けんなよ…襲ってやってんだから、』


「…んっ、……」


慌てて目を閉じると、ふっ…って笑った声が聞こえる。


『本当に襲われたいの?』


「いやっ…その…」


恥ずかしい…頬が赤くなって、顔を逸らしたいけど
でも頬に添えられてるはずの手がそんな弱い力ではなくて。


『…アホなの、?』


「……うん。」


頷いて、ちらっとら見上げれば微笑んだ…ように見えたけど
また冷たいその視線に戻るから、そのギャップで胸がきゅんって。


『目、見開きすぎ…ブスがもっとブスになったぞ』


「なっ…ブスだから…もともと。」


また下を向いたら、顎を今度は持ち上げられる。


『そのブスな顔、他のやつに見せんじゃねーぞ。』


「へっ…え…」


また黙らせるみたいに重なった唇が私の呼吸とか全てを
この場所に置き去りにしてしまうようで。


『今日、授業サボるわ…〇〇は?』


「え!宏太君に着いてく!え!名前!」


うるさいって冷たい声とは反対的に、手は握られたまま。

 

…fin

○ペットボトル→山田涼介○

 


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仕事が終わって家に帰ると、付いているはずのない電気がついている。


「…あ、涼介。来てたんだ。」


カバンを置いて、ジャケットをハンガーにかけるけど反応はない。


「涼介?」


体を揺するとぱちっと目を開く。でも、どこかふやふやしてるような?


『〇〇ちゃーん、ちゅっ、てな?!』


「はっ?!」


いつもではありえない。急に唇を尖らせて、触れるだけのキスを。


『…会いたかったり…したりしたり?』


「……水、水持ってくる。」


『いいよ〜』


「酔っぱらいは黙ってなさい!」


『…うぃ〜』


冷蔵庫に向かうと常備されたEvianに手を伸ばす。


「はい、ほら、飲んで。」


『涼ちゃん、飲めないな〜』


「馬鹿なこと、言わない。ほら…」


ペットボトルを持つ私の手ごと掴んで、ゆっくり飲んでいく涼介。
口元から少しだけ水が漏れてる。


「あ〜…服濡れてるよ」


『着替えさせて〜』


「せっーのっ……はいっ」


フリースを引っ張って、私の部屋に置かれているパジャマに手を伸ばす。


『ねぇ…もう着せちゃうの?』


「着せますよ…涼介酔うとめんどくさいんだもん」


『もっと楽しいこと、しないの?』


「しません。ほら、着て?」


ブーブー言いながらパジャマの上を着た涼介が今度はこくりこくり…


「涼介、寝ないで〜!」


『…何?かまちょ?』


「風邪引くでしょ?ほら、ベッド行くよ。」


『…連れてって〜』


ん?って腕を広げて待つ涼介に私は片手を差し出す。
だけのはずだったのに、腕を引っ張られてバランスを崩す。


『ふふ…〇〇だ〜』


「はい、…私です」


耳元で囁くから、変に緊張しながら答える。
きっと、今の私は耳まで真っ赤で、それを分かってなのか
耳を挟むように涼介の唇が捉える。


『…一緒に寝よ?』


「…はい。」


よぉし、なんて立ち上がったはいいものの、またふらっとする涼介。
腕を支えて、一緒にベッドにダイブ。


『…ふふ、』


私を抱きしめたまま眠りについた涼介の腕の中。私も眠りに落ちた。


____


『おはよ…』


「…昨日、酔ってましたね」


『ん…』


酔いが冷めた涼介はいつも通り微笑んで、でも多くは語らなくて。
そんな涼介も好きで私は涼介の頬に挨拶のキスをする。

 


…fin

○愛より恋より好きより→伊野尾慧○

 

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『〇〇〜、ご飯は?』


「できるから、お箸並べた?」


『もちろん。お皿もコップもお茶も出しました〜』


「よろしい!」


俺がアイランド型キッチンを望んだのには1番の理由がある。


「…そんなに見ないでよ。」


『いいから!早く早く!』


「はいはい…もうできますよ。ご飯とお味噌汁、よそって?」


『ん〜!今日の白米も良い輝きだ!さすが〇〇』


「いや、機械が作りましたからね?」


昔は可愛く、頬を赤くしてくれたのに、今は全然。
むしろうまくあしらわれて、俺だけ尻尾を振っているようで。


『〇〇、俺のこと好き?』


「好きだよ〜」


昔は好き?って聞くだけで赤くしてた頬も今ではあっさり回答。


『どこが好き?』


「全部って言ったら答えにならないんだっけ?」


また大人の余裕みたいな微笑みをする。
全然、初々しくはないし、むしろ、定例行事みたいな…。


『〇〇、俺のこと、本当に好き?』


「好きじゃなきゃ、新しいマンションに引っ越すまで付き合えないよ?」


お金ももったいなくて出せません。なんて、もっともなことを言われる。


『…でもさ、ほら、昔はすぐ赤くなって、すぐ照れてたじゃん!』


「今も照れてるよ。」


『でも、さ?でも…』


「慧は、赤くならない私のことは好きじゃない?」


俺の前で瞳が揺れる。あ、そうだ。〇〇は泣き虫だった。


『そんなわけ、ない…』


まただ…いつも大切にしたいのに、空回りして結局傷つけてしまう。


「…食べよう、冷めちゃうよ?」


『あ、うん。』


「……慧も、変わったよ…多分。」


『え…?』


へへって笑って、続きをごまかされたけど。
〇〇はきっと何かを感じたように微笑む。


『変わった俺はどう写ってる?〇〇に…』


「寂しさ半分、愛おしさ半分かな?」


〇〇はいつも俺を見ていて、いつも俺のそばにいる。


『俺、慣れちゃったのかな…幸せとか…そういうの?』


「慧が慣れたんじゃなくて、私が大人になったの。」


慧は子供のままだけどね?なんて笑われる。


『俺、20代も後半よ?』


「でも精神年齢高校生くらいだから」


そう言って、微笑んだ〇〇は昔も今も変わらない微笑みで。


言葉にすると嘘みたいに思える事も〇〇の言葉なら
それがきっと確かな真実になっていく。


『〇〇のこと、なんか好きなんだよね…ずっと』


「私もだよ、それでいいんじゃないかな?」


いつもそばにいるってことが大切なんだろうな…
なんて一人納得したように呟いて、ね?って微笑んで
その表情や仕草や1つ1つ、今この瞬間が愛おしく思えるんだ。


…fin

○かもしれない→伊野尾慧○

 


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教室に入って、真っ直ぐ自分の席につけることほど難しいことはない。


『〇〇〜おはよっ。』


「おはようございます。」


ぺこりと頭を下げて、その場を通り過ぎようとしたのに、
進みたい道を塞いでしまう伊野尾君。相変わらずニコニコしてる。


『今日はポニーテールなんだね。似合ってるよ。』


「…昨日も同じ事、言ってました」


『だって毎日〇〇、可愛いし、言いたくなるんだよね。』


好きな子だからだよ?なんてマッシュルームがペラペラと話しても
何の説得力もなくて、私は途方に暮れる。


「私、どちらかというと光君みたいな誠実な人が好きなの。」


口からでまかせだけど、とりあえず伊野尾君をどうにか、どうにか…
なんて一生懸命考えて、たどり着いた光君で撃退案。

そんな時にタイミング悪く、光君がやってくる。


『げ…なんでいるの。』


{は?俺もこのクラスの生徒だよ。}


〇〇、おはようって流石な爽やかな笑顔で挨拶する光君を睨みつける


伊野尾君。相変わらずこの2人は仲悪い(?)みたいで。


{〇〇、毎日ご苦労さま(笑)}


「ありがとうございます…」


『いやいや!2人ともおかしいでしょ!』


こんなに俺に惚れられる嬉しさは?なんて語る伊野尾君を暑苦しそうに
押し返す光君を見て、おかしくて笑ってしまう。


『…〇〇はさ、本当に見る目ないよな〜』


「いやいやいや…伊野尾君には言われたくないです」


『え?俺、見る目あるよな?光。』


{うん。}


その光君の言葉が発せられてから、どうしたことか私は伊野尾君に
抱きしめられて、どうしたことか頭の中はぐっちゃぐちゃで。


『…なんで光に言われると顔赤くするわけ。』


「……してないよ」


『その顔、誰にも見せたくないんだけど。』


ひそひそと私の耳にだけ届く音量で、嫉妬のこもった声。
身体を離されたところで、抱きしめられたせいで頬は嫌なくらい真っ赤。


『光、1限、俺と〇〇、保健室ね。』


私に拒否権なんてなくて、引っ張られるがまま校舎を進んでいく。


『…光のこと、本当に好きなの?』


「あれは、不可抗力で…普段あんなこと、光君、言わないから。」


『……俺であんなに赤くならないじゃん。』


「伊野尾君は言い過ぎなんです!」


最初は優しかったお互いの口調も言葉が重なる度に、強くなる。


『じゃあ、〇〇には2度と好きなんて言わない!』


「…言わなくてもいいよ。」


本当は寂しい…なんて言えなくて。下唇を噛んで俯く。


『…そんな顔しないでよ。悪いこと言った気分。』


期待させないでよって、また私は伊野尾君に抱きしめられる。
私の頭を優しく撫でる伊野尾君の手。


『…好きだよ。本当に。こんなにしつこいくらい好きなのにさ』


気持ち悪い?なんて耳元で笑うから私まで擽ったくて笑ってしまう。


『笑うなよ〜…でもさ、本当に本気で好きなんだよ?』


伊野尾君のこと、好きかもしれない。
…って思ってる事はまだ言わないでおこう。


…fin

 

 

 

○片想い番号→髙木雄也○

 

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「…ねぇ、聞いてる?」


『聞いてるよ。』


「だからさ、…」


かれこれ、話し続けて1時間が過ぎてる。
勉強しなきゃいけないって思うほど手は進まないし、頭も働かない。


『で、お前はいつ勉強再開するわけ?』


電話先の雄也は少し呆れた口調で私を問いただす。


「…やる気出ないんだもん」


『そんなの今に始まったことじゃないだろ?』


電話先で少し笑ったようで、ふっ、って息の音が聞こえる。


『で、今は何やってるの?』


1時間も話してて今なんてないことくらい分かってるくせに聞いてくる。


「…やってたのは数学」


『あ〜、〇〇嫌いだもんな。』


「うん、全然わからないの、やる気出ないの。」


駄々をこねていいのはきっと小学校の低学年までだと自分でも思う。


『で、俺に電話してきたの?』


「うん。」


『俺に聞かれても分かんねーよ?』


「うん。期待はしてない。」


『ひでーな(笑)』


雄也が笑う度に電話の奥でのその微笑みと息遣いが。
想像するだけで無駄にドキドキするし、苦しくなる。


「…雄也は最近どうよ?」


『どうって?』


「ほら、気になってる子がいるって。」


やっぱりこうなると話題は恋バナになる。
好きな人相手にこんな事を聞いてしまうから私の恋はうまくいかない
のだと、友達からと何度だって言われているのに懲りない。


『最近はよく話すかもな。』


「へぇ…」


『学校だとあんまり話しかけてこない』


「学校以外で会ってるの?」


『いや…そういうことじゃねーけど』


雄也が言葉に詰まるのは珍しくて、なんだか悔しくなる。
でも、電話相手にしかなってない自分を呪うしかなくて。


「…ふーん。いい感じなんだ。」


『……いや、そうじゃねーかもしれねーけど。』


「どっち…はっきりしないな〜雄也はいつもそうさ…」


ああ…こうやって好きな人にも当たってしまう。


『…〇〇はどうなんだよ』


「ん…微妙な感じ。」


『……俺にしろよ。』


「…え?」


『俺じゃ役不足?』


「……えっ?」


『……また明日。』


勝手に切られた電話は私に無駄なドキドキしか与えない。


"明日、ちゃんと言うから。"


LINEの通知がさらに私を追い込んで、これ以上勉強なんて手につかない
ように雄也が邪魔したんだって、私は布団に飛び込んだ。


…fin